光学顕微鏡の分解能は、光の回折限界により限界があり、一般的に波長の半分のλ/2程度となります。しかし、近接場光学顕微鏡(SNOM)は、この回折限界を打ち破り高分解能光学像を得ることができます。しかも、試料の前処理はほとんど必要ありません。
原 理
近接場光学顕微鏡では、励起レーザー光を励起波長より小さな直径を持った開口にフォーカスして照射すると、その開口の反対側にエバネッセント場(近接場)が発生します。試料との間隔を開口径より小さい距離で走査すると、透過光の光学分解能は、この開口径とほぼ同じになり、分解能として最高60~100 nmまでになります。光学像は、試料表面を1点1点もしくは、1ライン毎に走査することによって得られます。
アプリケーションとしてナノテクノロジーの分野、特にナノ光学の分野で使用されています。生命科学や材料科学の分野では、SNOMは不透明な試料に限らず、透明な試料に対しても微細構造の観察が行われています。蛍光観察手法を用いることによって、単一分子の観察も可能になっています。
独自のSNOM対物レンズシステムと、穴付きカンチレバにより、WITecのSNOMは簡単に回折限界を破る光学像を得ることができます。
WITecのSNOMは、独自で特許化された高品質マイクロ構造のSNOMカンチレバを使用しています。このSNOMカンチレバは、探針Si 製の中空ピラミッド構造でアルミのコートがされています。ピラミッドの先端に穴が開いた構造となっています。励起レーザー光は、ピラミッドの背面から先端にフォーカスするように照射します。このピラミッドの開き角が大きいため、一般的なファイバーを用いたSNOMプローブに比べて、同じ開口径でもスループットが著しく大きくなっています。確立したプロセス技術を使用し、ユーザーの個々の要求に応じて、さまざまな径のカンチレバが供給できます。ファイバー方式に比べて、カンチレバタイプのSNOMセンサーは、z方向の力に対して柔軟で折れにくく、光てこ方式を用いたフィードバックで、探針-試料間の距離制御が正確に行えます。
これらすべての技術が、回折限界を超える信頼できる光学像を得る、近接場光学顕微鏡のプローブの取り扱いを簡単にそして扱いやすくしています。
右図:
01 レーザー
02 光ファイバー
03 SNOMカンチレバー
04 フリップミラー
05 光ファイバー
06 検出器
07 高感度ビデオカメラ
08 白色LEDケラー照明
09 カラービデオカメラ
10 コレクションモード検出時ファイバーコネクタ
11 光てこ用レーザーファイバーコネクタ
12 4分割フォトダイオード
下図:
[A] SNOMカンチレバ、試料観察用ビデオカメラ
[B] カンチレバビラミッド部側面
[C] SNOMカンチレバSEM写真
[D] SNOMカンチレバピラミッド頂部の開口部のSEM像
[E] SNOMカンチレバウェハー
WITecのシステムは、モジュール設計思想に基づいて、さまざまなイメージング機能、例えばラマンイメージング、蛍光、発光、原子間力顕微鏡 (AFM)、近接場光学顕微鏡 (SNOM) を1台の装置に組み込むことができ、試料をより総合的に分析することができます。モードの切り替えは、顕微鏡のレボルバーを回すだけです。
SNOMラマンイメージング法は、近接場光学顕微鏡(SNOM)の分解能でラマン分光を行う特殊な手法です。このようにSNOMラマンイメージング法は、超高分解能のラマンイメージを得ることができます。特に空間分解能として100nm以下の分解能を得ることができます。
カンチレバ方式を用いたSNOMシステムと、高スループット分光器との組み合わせでWITecのSNOMラマンシステムは、他の追従を許さない高感度、高画質を1台の装置で実現しています。
励起レーザー光は、SNOMカンチレバの開口部にフォーカスするように照射し、カンチレバ先端に近接場(エバネッセント場)が生じさせます。試料はピエゾスキャナで走査され、透過光を画素毎もしくは、ライン毎に分光してラマンイメージを得ます。透過光の光学分解能は、開口径(<100nm)とほぼ同じとなります。光てこ法を用いたAFMコンタクトモードでカンチレバは、常に試料表面に接触した状態で走査され、表面形状像も同時に取得されます。
其々のアプリケーションに応じたラマンイメージング活用の可能性について、WITecのスペシャリストがご相談に応じます。下記フォームよりお気軽にお問合せください。